山田はるこさんインタビュー(スタジオげん/街のアトリエ)


Posted on 2015-2-13



Patchwork Chofuのクラウドファンディングにご支援いただいた山田はるこさんにインタビューさせていただきました。造形活動にまつわるお話や、街のアトリエのこと、幼児教育について聞きました。



造形活動について
 

―山田さんの「ブロッコリー」という作品、面白いですね。調布は畑もたくさんあるし、街のアトリエの下には卸市場もあって、周りの環境との関係性から出てきた作品なのでしょうか。
 
「そうですね。まさにその通りで、今まで野菜を作品に取り込もうと思ったことなんてなかったんですけど、ここに来て、この環境を活かしながら活動しないのはもったいないなっていう想いがあって。」


「ブロッコリー」2014​ 木彫
 
「『農のアート&サイエンス』というイベントを年に何回かやっているんですけど、その時まずは実際に畑に行き、収穫とか苗植えなどを体験してからアトリエに戻ってきて、科学的な、客観的な観察みたいなものと、プラスオリジナルの造形活動や文様作りをしたりするんですよ。やっぱりそうやって野菜畑を見ることで、旬とか関係なくスーパーにいつも同じものが並んでいる状態をみるのと、全然違う印象受けて、そこからくるエネルギーみたいなものをすごく感じるようになりました。
 
『ブロッコリー』は、この地域の生活というか流れの中からフッと湧き出てきた作品だなあと思います。」



こどもとアートについて
 
「街のアトリエの理念として、『カラダを動かし、モノを作り、セカイと対話する』というのがあります。何かを作るっていうのは、自分を表現する事なので、自分は何が好きかとか、どういうものに向いてるとかも、自分の好きな物で何か作ってくときに、段々辿って行けるようになるんですよね。だからまずは自分と『対話』する。自分っていう内的な『世界』と『対話』するのが最初のステップとしてあって。そして段々『世界』に対して自分がこういう表現が出来ますっていう、外的な『世界』との『対話』に繋がって行ければいいな。」



「ここで身につけた表現力は将来、アーティストになることで、それが消化される事を目指しているわけではなく、色んな分野で活用されると私は思っています。自分を知って、そこからまた世界に対して発信していくことが出来る人になろう、という様な教室をやっているつもりです。」



―幼稚園でもこういったモノづくりってやりますよね。(でも同じじゃないのかな?)
 
「そうですね。作る機会は小さい子供達にはいっぱいあると思うんですけど。幼稚園でやる時って、大勢で活動するので、段取りが決まっていて、それに沿ってこれをこう、ここはこうやるのねっていうことを、手順を踏んで作り上げて行きます。それが、学校とか集団で何かやるときに学べることなんですけど、ここは少人数なので、自分のやりたいことをやってご覧って言う感じで。本人の意思に任せているので、手法も材料もそれぞれ違っていたりします。今日もみんなバラバラだったじゃないですか笑」
 
―バラバラでしたね笑



「小さい子供達の活動って結構制限されてて。これは一人一個だよとか、そういうことがすごく多いので、ここに来た子が最初に言うのが、これ何個使っていいの?って、みんな結構気にしてるんですね。段々ここでは自由にやっていいんだなという事が分かってきます。たくさん使うなり、ちょっとしか使わないなり自分で判断することを実践してもらう感じですね。」



「自分がやりたいって思うものをどんどん作って、夢中に取り組むことが出来る場所にして行きたいっていうのは、根本にありますね。」

街のアトリエのこれから

「街のアトリエを地域に開かれたモノづくりの拠点にしたいと思っています。地域の方がモノづくりを体験できる場、さらには、にぎわいの里(市場)の2階の1号室周辺に、たくさんのクリエイティブな活動をされる方が集まって、制作現場になっていくことを願っています。」


駅前の喧噪を抜け、布多天神社を超えて北へ行くと、深大にぎわいの里(調布卸売りセンター)がある。市場では、地場産の野菜や生鮮食品など様々な商品を取り扱う。駐車場完備。この二階に街のアトリエがあります。
 

―山田さんを通して、調布に身を置くことで築かれる地域との関係性、こういった土壌とモノづくりは有機的な繋がりがあることを感じました。そういった環境の中で、子供達の感受性はいかにして豊かになるだろう。知識の詰め込みではなく、重要なのは心と身体が有機的に関連していくことのように思います。
私は、幼稚園や大勢でのモノづくりのくだりで、中学校の音楽の授業を思い出しました。この曲を聴いて、どう思いましたか?と聞かれてプリントを文字で埋める。それらがどんな基準で成績に反映されるのか、友達はなんて書いたか、など評価や様々なことを無意識に気にしていたものです。結局そういう中から出てくる言葉は、私の言葉ではありませんでした。これは社会的な体験として重要ですが、アイデンティティを育む場としては不十分ではなかったか。
果たして成長とはどんな物差しで測るべきでしょうか。学校では評価が伴いますが、その評価が個々の成長の尺度と一致しないこともあるのではないでしょうか。でなければ、「ようやく子供のような絵が描けるようになった」というピカソの言葉を理解出来ません。
子供たちの心の木が伸びようとしているまさにその時、光を当ててあげる。それだけで、十分かもしれないですね。
山田さん、ありがとうございました!

(記事 : 田邊 真 / 
写真 :  薩川 良弥)

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山田はるこ(スタジオげん/街のアトリエ)
幼児期をアメリカで過ごし、高校時代1年間アメリカへ留学。東京芸術大学大学院修了。5年間の美大勤務を経て、2011年、半年間ロンドンのV&Aにて研究活動。翌年「スタジオげん」を設立。立体作品を中心とする制作活動を行いながら、美術教育の研究活動にも着手。昨年4月には深大にぎわいの里に、創造性を育む場「街のアトリエ1号室」をオープンした。
このアトリエは、週2日(金曜日・日曜日)幼児から小学生を対象とする“こどもあーと教室”を開講しており、地域の自然環境を活かしたアウトドアなプログラム”おそとであーと”と、言語とアートを学習し自己の創造性を育む“あーとABC教室”がある。また、大人向け講座もあり、自分でデザインしたオリジナル雑貨の手作り講座を開いている。
山田元子  
街のアトリエ 




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