深大市場"調布にぎわいの里"にある、昭和の風景とこれからのこと。 浅里 謙介さん、加藤時彦さんインタビュー

深大市場"調布にぎわいの里"にある、昭和の風景とこれからのこと。
浅里 謙介さん、加藤時彦さんインタビュー


Posted on 2015-5-28



調布・深大寺に、「深大にぎわいの里」という卸売りの市場があります。
今回は、歴史ある調布の市場のお話を、調布みつぎ不動産研究所の浅里謙介さんに伺いました。


八百屋、肉屋、日用品…昭和の香りが残るお店が並びます。



浅里さん : この卸売り市場は昭和47年に開設されたんですよ。

ーもう40年以上ですか。

浅里さん : はい。元々はその前、昭和37年から「武蔵野市場」としてつくられて、その後の卸売り市場としてオープンしたんです。
当時はスーパーとかコンビニが無い時代で、いわゆる"二次問屋"みたいな場所の需要があったんです。ここらへんの商店の流通の要でした。
当時は80~90店舗が出ていて、やっちゃば(市場)らしく競りみたいなものもあったらしいです。でも今は時代が変わって、まぁ、見ての通り店舗数が少なくなってしまって...

ー現在は何店舗入っているんですか?

浅里さん : 現在では20店舗強です。平成25年にリニューアル工事をして、新たな集積をつくっていこうと動き出しました。現在、お客さんが一番入っている「調布のやさい畑」の他、「肉のアンデス」「小松」さんなど、古くから残って頂いているお店もあります。以前からの歴史もあるお店も大切にしながら、生まれ変わっていきたいと思っています。



「集積」=小さな店が集ること。

ー新たな「集積」って言葉を使ってらっしゃいましたが、その言葉に何か大きな意味があるんですか?



浅里さん : ここは市場ですので、商店が集ってくる場所です。「小さい個人のお店」を応援していくことで、地域にも還元出来る様な新しい地域の魅力が生まれればと思って。それがこの市場全体の魅力になっていくと考えています。


肉のアンデス名物「やわらか!ドラゴンハラミ」

 

「調布のやさい畑」の店主、加藤さん

浅里さんが次に案内してくれたのは、深大にぎわいの里の顔とも言える、地産の八百屋「調布のやさい畑」でした。店主の加藤さんにお話を伺います。


「調布のやさい畑」の加藤さん(写真右)

ー早速ですが、調布のやさい畑が出来た経緯を教えて頂けますか?

加藤さん : うちは社長(調布みつぎ不動産研究所)が農家なんですね。まぁ不動産業の大本は農地という事で、農業をずっと続けてるんだけど、うちの野菜を販売するだけではなく、どうせなら、周りの生産者(仲間)の商品も一緒に販売したいという思いがありました。
ここで、農家仲間の販売先を作る事に意義があると。そこから始まったお店なんです。


調布の野菜が並びます。

ーこのお店の特徴をあげるとすると、やはり調布の野菜が置いてある事でしょうか。

加藤さん : はい。必ずしも調布産のものだけでは無いのですが、そうですね。
基本的に野菜は、旬の物を旬の時期に置く、というのがうちのお店のスタイル。だから時期によって商品は入れ替わります。これから夏にかけては入荷のピークで、キュウリ、トマト…夏野菜は本当に美味しい時期になってきますよ。

生産者を支えたい

加藤さん : うちはなるべく、他の直売所から直送で仕入れるという事にこだわっています。スーパーで、あまり取り扱いの無い物も揃えてますよ。

 


加藤さん : 正直、直売所だとそこまで野菜が売れないんですよ。農家さんの野菜をしっかりと消費者の元に届けたいという思いもあって。
だからこそ、生産者に対して厳しい事を言う事もあります。なぜなら商品が売れるかはお客さまありきなので。
コミュニケーションをとる中で、生産者の方も売る事に対して考えてくれる様になってきました。

 


ーお客様は殆ど近隣の方ですか?

加藤さん : そうですね。8割が近隣の方ですね。

―高齢の方も多く見えますが。ここら辺に住んでいらっしゃる、いわゆる「買物難民」を救っているという効果もありそうですね。

加藤さん : そうですね。歩きや自転車でお越し頂く、お近くのお母様方も多いです。



ー駐車場も使えるんですね。ご家族の方が車でファミリーできて、お買い物を楽しむという事もできそうですね。

加藤さん : はい。親御さんが買物をしている間に、子供が遊べるスペースもありますしね。


子供用の遊具が置いてあるコーナーも

ー特に一押しの野菜は何ですか?

加藤さん : 「かつお菜」と「フルーツ人参」はテレビ番組にでたこともあって、うちの顔みたいになってますよ。


テレビ番組で取り上げられたかつお菜。良い出汁が出るという事から「かつお」の名が。売れ筋商品です。

生産量の限界

加藤さん : でも、今は生産者が減ってきました。そして畑の数も限りがある。そんな中で、「商品の不足」という問題はあります。

ーこれからの課題ですね。

加藤さん : はい。地元の野菜がもうちょっとほしい。正直、不足気味ではあります。
でも今の生産者の年齢を考えると、これから生産量が増えてくるという事はあまり考えられませんし...

ー例えば、地域で農業をやってみたい人って結構いると思っているんですが、地域の人が集って、野菜を楽しみながら育てるような取り組みを作り、それをこの直売所で販売させて頂くとか…

加藤さん : それはできたら面白いですよね!農作業って結構やりたい人いると思うんですよ。地域の人の関わりも生まれて、そう言う取り組みが生まれてくると凄く良いと思います。
うちの社長の考えでもあるのですが、調布の地域に貢献したいという想いはとても強いので。

ーそうですか!その思いに共感してくれる方がいらっしゃれば、是非何か取り組み始めてみたいです!




市場の中での店主さんとの触れ合い

再び浅里さんに市場をぐるっと案内して頂きます。


市場の方にも気さくに話しかける浅里さん。

浅里さん : おやっさん、今日は何かオススメあります?

店主さん : 今の時期はこれだね!


店主さんのこの日のオススメはいわしでした。

浅里さん : 基本的には店主さんがいらっしゃるので、会話が生まれます。それがスーパーとは違う、市場の良さだと思います。
あ、おやっさん、(撮影の)写真とって良いですか?

店主さん : いいよ!良い男にとってくれよ!



ーお店の店主さん、皆さん気さくな方ですね!

浅里さん : はい。でももちろん人によりますけどね(笑)でもやっぱり、何回かここに通われると、必然的に仲良くなりますよね。常連さんと店舗の方が会話を楽しんでいる姿は良く見ますよ。

基本的に卸がメインだが、小売りで購入が出来る店舗も多い。

今回の取材を通して感じられたのは、お店の個性でした。そしてその裏側には、お店を営む人の思いがありました。
"コーヒーを飲んで、元気になって欲しい"という思いでお店を営むカフェHOLLYの岡本さん。そして調布のやさい畑の加藤さんからは、"地域の農業を支えたい"という思い。
きっと多様な個人の思いに触れられることが「市場」の様な個の集積にある魅力のひとつなのではないかと思います。
そして浅里さんは最後に、
「今、数組の入居希望者との話も進めているんですよ。」
と私に伝えて下さいました。

自分の力を活かして周りの人の役に立ちたい。

そんな思いを持ったお店が、この場所に1つ、2つと集ってきています。
今回伺った深大にぎわいの里では"昭和の匂い"と"これからの可能性"の両方を感じる事ができました。
周りの人と触れ合いながら、自分の思いを形にしたい。
そんな場所を求めている方は、是非ここに一度立ち寄ってみるのも良いかもしれません。

(記事/写真 : 薩川 良弥)

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