自分たちが良いと思えるものをつくれば、届く。
「kata kata」 松永武さん・高井知絵さん


Posted on 2015-11-10



つつじヶ丘の駅から徒歩10分ほどにある神代団地には小さな商店が立ち並ぶ一角があります。その中に去年の11月、とても素敵なアトリエショップがオープンしました。そこには自分たちの感性を大切にしながらもの作りを続けるお二人がいます。
今回は、型染めという染色技法を中心にものづくりをされているユニット「kata kata」の松永武さんと高井知絵さんにお話を伺いました。


お店の外観。店内には大きな窓から光が差し込み開放的な空間です。


kata kataについて
普段は工房として使いながら週末の3日間はお店として営業しているkata kataのアトリエショップ。取材をさせていただいたのは日曜日だったので店内にはすでにお客さんの姿がありました。知絵さんがお客さんに作品の説明をしているのを見つつ、武さんにお話を伺いました。

武さん

—お二人の活動について教えて下さい。

武さん:
主に型染めといって型紙を使って布を染めるという技法で作品をつくっています。他にも、型紙を使って自分たちでデザインをして職人さんに染めてもらう注染という方法やプリントなども使って作品をつくります。

—いつからお二人で活動しているんですか。
東京造形大学っていう大学の在学中にいろんな大学の芸祭とかに参加して、手ぬぐいとかTシャツとか自分たちで作ったものを持っていって販売していました。卒業してからも、大学3,4年の時からやっていたkata kataっていうユニットでそのまま一緒にやろうと。それで高井の親が静岡で染色作家をしていまして、工房があるんですね。なのでそこに一週間くらいいて作品を作って、また戻ってきてイベントに参加するみたいな形で動き始めました。それから展示会や個展、もの作りのイベントとかに参加するようにもなりました。


はじめは一通のダイレクトメールから。縁がつないだアトリエへの道のり。
大学在学中から活動を始め、卒業後も一緒にものづくりをしていたお二人。様々なイベントに出展していく中で、現在のアトリエにつながる出会いがありました。

武さん:
いろんなイベントに参加する時、DMをつくって送るんですけど、ある時たまたま送ったのが(現在手紙社を主宰している)北島さんだったんです。それで手紙社さんがもみじ市(リンク先は2015年のもの)ってイベントをやるからということで声をかけていただいて、そこから手紙社さんのイベントに参加させてもらう機会ができました。その他にも展示会だったりクラフトフェアに参加したりして取引先やファンの方がだんだん増えていきました。

それから手紙社さんが調布にお店をつくっていろいろやられていて、僕らも仲良くなり一緒に食事とかするようになったんですけど、その時にちょうどこの物件が空いてるよと教えてもらったんです。僕らもその頃、デザインは東京でやっていたんですけど制作は静岡まで行っていたので拠点をこっちに欲しいなと思っていたタイミングでした。そんな経緯があり、去年の11月にアトリエ兼お店ということでオープンしました。

ーすごい! まさに人との縁でどんどん物事が動いていった感じですね。
 

そうですね。このお店の内装も知り合いが手がけてくれて、いろいろとタイミングが良かったですね。



「自分たちが良いと思えるものをつくっていれば大丈夫」
店内に並ぶ作品はどれも特徴的なデザインで独特の味わいがあります。kata kataの作品を買いに遠方からわざわざ足を運んでくれるファンの方も多いそうです。つつじヶ丘の駅から徒歩10分、しかも繁華街ではなく普通の団地の中という場所はお世辞にも好立地とは言いがたい。それでも来てくれるファンがいるってすごいことなのではと思い、どんな考えで作品を作っているのか聞いてみました。


色々な柄の手ぬぐい。お二人が日々の生活の中で感じたことをモチーフにしているそう。


布を使った作品だけではなく器やスポンジ、ポストカード、洋服などの作品もあります。

 

こちらは知絵さんのご両親の作品だそうです。
 

—kata kataの作品を作る上で、影響を受けた作品とかはありますか?
 

武さん:

僕はあんまり他の作品からこんな影響を受けたって感じではないですね。


—ものづくりをする作家さんが、活動を仕事にするにあたって、自分が作りたい物を作れなくなってしまう事ってあると思ってます。自分が作りたいものと求められるもののバランスで悩むというか。武さんはそういう場面はあったんですか?

そうですね、僕は割と自分が好きなものを作ってます。それが受ける人には受けるし受けない人には受けない。たぶんそれははっきり分かれるんですけど、自分の作品を好きだと言ってくれる人は狭いけど、深い。ずっと活動しているとそういう人たちが多少なりとも集まってくれるので、そんなにドカンと受けるわけじゃないけど大丈夫。


—これまでの活動の中で不安になったり、苦労じゃないですけど充電期間みたいなときはあったんですか。

うーん、意外と大丈夫でしたね。見てくれる人が多いイベントに出れたというのもあったとは思うんですけど、1万人いて100人くらい自分たちの作品が好きと言ってくれる人がいれば活動していくにはオッケーかな。みんな結構変わったデザインが好きな人が多かったです。だからたぶん自分たちからお客さんや流行に合わせるみたいなことはしないほうが、逆にクセみたいなのがでてそれを好きだと言ってくれる人が出てくるのかなと思います。

ね、たぶんそうだよね?(知絵さんに向かって)

知絵さん


ここまで丁寧に説明してくださった武さん。ここからは知絵さんも一緒にお話ししてくださいました。

武さん:
お客さんに合わせていくというよりは、自分たちが好きだなと思ったものをやっているよね?

知絵さん:
はい。完璧にそうです(笑)

武さん:
そういうほうがなんかやっていけるよね。流行を追うとかは…

知絵さん:
そもそもそういうことがあんまり得意ではないというか。なんか、好き勝手にやってます(笑)

 

手紙社との関係性
—少し話は戻るんですが、kata kataさんと手紙社さんの関係性ってすごくいい関係だと思うんです。手紙社さんは発信するプロフェッショナル。そのためには発信するものごとが必要でそれがkata kataさんにすごくフィットしている。一方でkata kataさんも作品作りをする中で手紙社さんのフィルターを通すことで伝わるものがあって、こう、うまくリンクしている。本当にお互いでなりたっているというか。

武さん:
そうですね、すごくいい距離感というか、本当にあの、いい感じなんですね。手紙社さんがイベントをやって人を呼んでくれる。じゃあ自分たちもそれに向けて作風とかじゃなくてイベントとしてどういうことができるんだろうと考えてデモンストレーションをやったり。そういう感じで一緒にそこの場所を楽しめるようなものを作ると自分たちも楽しいし、それで作品を知ってくれる人もいる。結果的にもみじ市が楽しくなったらいいし、自分たちのことを知ってくれたり手紙社さんのことを知ってくれたりとかするといいですよね。

手紙社は広告というかそういう発信するプロなので、そこにどう自分たちがアピールというか見せることができるか。イベントをやってくれることで自分たちにプラスがあるし、自分たちが何かすることで向こうにプラスがある。

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お互いにないものを補い合うことで、より良いものができていくいい循環ができているんだな、と納得しているとタイミングを見計らったかのようにkata kataの二軒隣にある手紙舎つつじヶ丘本店からコーヒーが届きました。実は知絵さんが注文してくださっていたのです。コーヒーの出前もしてくれる、こんなところからも2店のいい関係が伝わってきます。近くにあるお店同士がコラボレーションすることができれば、より面白いことができるのでは。そんなことを思い、ものづくりと地域の話を聞いてみました。


地域で作家同士が支え合う、ものづくりの地産地消という形
—ここ数年、自分たちを発信しながら仕事をつくってお店を続けるkata kataさんみたいな働き方をする人が増えている気がします。最近では調布にも増えてきたなと感じているんですが、kata kataさんから見てこの地域でものづくりをしやすくなってきているとか、あんまり変わってないとか実感はありますか。

知絵さん:
難しい質問だね。

武さん:
そういう話でいうと台東区がものづくりのまちとして賑わっているんですけど、そういうのが調布にもあるといいなと思います。空いている物件をアトリエにしてそこに入った作家さん自身はもちろんものづくりをするけど、その人の周りの工場とか技術を持っている人を使って何かできると面白いですよね。普通に自分たちでアトリエを持って制作をして販売するっていう形でもいいんですけど、それだと自分たちだけで終わってしまって。

知絵さん:
そうだね。この地域にどういうスキルを持ったどういう職人さんがいて何ができるのかっていうのがもっと目に見えて分かるようになるといいなと思います。そうなれば、一緒にこういうことしたいんですけど相談乗ってもらえますかっていうことができる。

武さん:
自分たちでいうとたとえば、縫製をやってもらいたいと思うといまはインターネットで探しちゃうじゃないですか。で、横浜とかにあったりするんですけど、調布にそういう縫製をやる会社があったら近くで頼みたい。本当は実際に会って話して、こういうことはできる・できないということをやりとりしたほうがネットより伝わりやすいし。あと、他のものを作りたいと思った時に、そこに特化した何かがあったらいいなといつも思ってるんです。

知絵さん:
だから調布のタウンページみたいなのがあるとすごくいいなと思って。ものづくり版のタウンページ。その方が楽しいし、仕事としてそれこそ地産地消というか、ものづくりの地産地消みたいなことができるといいなと思います。


—タウンページいいですね! もしそういうものがあったとして、何か仕事をお願いするとなった時に安さ以外に求められるものってあるんですか。


武さん:
数ですね。そんなに1000個も作れないけど100個単位で作ってくれるなら時間がかかってもいいからお願いしたいかな。どちらかといったら要望に応えてくれる人が近くにいてくれるといいですね。作家さん個人でやっていると、たとえば器は作れるけどそれを梱包する箱がほしいと思った時に自分じゃできないから探さないといけない。自分の仕事以外もお願いできる環境が同じ地域にあるとみんなやりやすくていいなと思います。


—なるほど。少ない数の発注に対しても要望に応えられたり、つくり手さんのやり方や意向を理解してくれる縫製屋さんがあれば、きっと良いパートナーになれますね。そういう良いパートナーが同じ地域くらいの距離感でつながれれば、調布でも色々と仕事や活動を始めやすくなりそうです。仕事を補完し合う関係を地域で育む。僕らもそんな関係性をつくっていただける様にPatchwork Chofuの活動を頑張ります。今回はありがとうございました。



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今回の取材を通して印象的だったのは、自分たちが好きだと思えるものを作るというお二人の考え方でした。それはお二人の作品だけではなく、アトリエショップの雰囲気にも表れている気がしました。

そして、ものづくりの地産地消というアイデアにもとてもワクワクしました。kata kataと手紙社がつながっていい関係を作っているように、kata kataと他の作家さん、その作家さんとまた別の作家さん… そんな風にものづくりから始まった輪が広がっていけば、きっとこの地域にも新しい魅力が生まれるはずです。そんな未来を想像させてくれるアトリエショップにみなさんも足を運んでみてはいかがでしょうか。

(記事 : 湯本洋平 / 写真 : 薩川 良弥)

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【お店情報】
kata kata (アトリエショップ)
住所       東京都調布市西つつじヶ丘4-23-35号棟 神代団地商店街104
営業日      金・土・日
営業時間     11 : 00〜18 : 00
電話       042-444-8438
ホームページ   http://kata-kata04.com/index.html

 




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