調布アイランドの丸田孝明さんにインタビュー
つなぐことで新しい価値をつくる。


Posted on 2014-12-18



「調布に新しい価値を作るには、外にあるものを組み合わせて化学反応が必要だと思った。」
 
そう語ってくれたのは、「調布アイランド」代表の丸田孝明さん。60歳で長年勤務した旅行会社を辞め、調布アイランドを立ち上げ、地域で働くことに挑戦し続けている丸田さん。これまで、そして未来を語っていただきました。

組織人から地域人へ

「調布アイランド」は、東京の南の島と調布飛行場をつなぐ定期便を利用し、島で獲れた新鮮な魚・野菜そして特産品を調布に届けるプロジェクトです。



島から届いた鮮魚・野菜は、調布市内の加盟店に運ばれます。島から獲れたての魚がその日のうちに調布に届く。海のない調布で、朝獲れの魚を食べることができるのです。

「会社という組織の中ではやれることはやりきった。もっと自由にやりたいと思った。」
 
65歳の定年退職を前に、丸田さんは旅行会社を退職します。
 
「これまで自分の経験を活かして仕事ができると思った。でも、正直難しかった。思うように仕事にならなかったから、、、このままではいけないな、と。」
 
会社員時代は、社内研修の講師として活躍をされてきた丸田さん。経験を活かして、研修講師として仕事をしたいと思っていたそうですが実際はそう簡単ではありませんでした。
 


「会社に勤めていたときは、会社と家との往復で。会社を辞めて初めて気づいたんですよね。あれ?知っている人がいないなって。僕の妻は、地域の会合だったり、回覧板だったり顔を出していたけど、僕は全然。調布で暮らしていくのであれば、ちゃんと地域に根ざしたい。自分の経験を活かして地域に貢献したいと思ったんです。」
 

調布アットホームとの出逢い

 
地域に貢献したい、新しいことができないか・・と考えていた丸田さんのもとに調布市からハガキが届きます。地域デビュー歓迎会の案内でした。この歓迎会の会場で、調布のコミュニティービジネス推進委員会調布アットホームの代表石原さんと出会い、丸田さんは調布アットホームの活動に参加。こうして、調布アイランド発足の一歩が始まります。
 
コミュニティービジネスとは、地域が抱える課題を、地域の人や資源、ノウハウを活かしビジネスの視点で解決をする事業です。調布アットホームは、コミュニティービジネスの手法を用いて調布が抱える問題の解決に取り組んでいます。



「調布には飛行場があるんだよね。」 「えっ!飛行場あるんですか??」
 
調布アットホーム忘年会の席でのこと。何か楽しいことができないか、調布のために自分達に何ができるのか、仲間と語りあう中で“調布の飛行場”の話に。

すると、意外にも調布に飛行場があることを知らない人がいることが分かりました。
 
「調布には飛行場があることを地域の人が知らない、飛行場をうまく利用できないかと思いました。仲間からも何かできないかって言われて。何かできそうだぞ!と思いました。」
 
島と調布。どちらも活性化される方法はないか。丸田さんは、調布アイランドのビジネスモデルを思いつきます。
 


2011年5月に行われた調布アットホーム、コミュニティービジネスコンペで丸田さんの調布アイランドは最優秀賞を獲得。
 
「まさかでした。最優秀賞をとってしまいましたからね。もうやるしかなくなったわけです。」

こうして調布アイランドは、実現に向かって進み始めたのです。

 

大切にしてきたもの

 「お、おいしい!」「とびうお、初めて食べました!」「サバがお刺身で食べられるなんて」



取材をさせていただいたこの日、調布飛行場に島から魚が届いたとの連絡が!調布市内の『大漁旗』さんを訪ねました。
 
島で朝獲れたばかりの魚は本当においしくてびっくり。朝5時や6時に水揚げされた魚を、お昼の12時にはいただくという贅沢。島から遠い調布で、こんな新鮮な魚を食べられるなんて。

「新鮮な魚は、切った時にわかります。お客さまも本当に楽しみにしてくれています。」

「自信を持ってお客さまにご提供できますよ。」と大漁旗の板前さんも魚の鮮度に納得、期待をしています。
 


「当たり前のことを徹底するのは難しいです。一度でも新鮮でない魚が入ってしまえばお客さまは離れてしまうでしょ。」と丸田さん。
 
丸田さんが常に大切にしていること。

当たり前をきちんと守ること。おいしいものは、おいしい状態で食べていただく。島の漁師さん、調布の加盟店のお店のみなさん、そして魚や野菜を買ってくれるお客さまのみんなが幸せになるにはどうしたらよいか、をずっと考え続けること。

そして、良いものを届けたいという気持ちは、会社員時代と変わらないそうです。
 
仕事が変わっても、“お客さま目線、みんなに満足していただくこと” を大切にする気持ちを丸田さんはずっと持ち続けています。
 


「儲かる、儲からないではないですからね。まずは、やりたいことをやる。やる価値があると思ったことを実現したら儲けがついてくる。ちゃんと価値を分かってくれる人はいると信じています。」

 

自分の経験を活かすということ

 
「2つのもの。島と調布をつなぐ。実は旅行業も同じです。」
 
「人と場所をつなぐのが旅行会社の役割。旅行に関わる人はみんな楽しんでもらいたい。自分の会社員として長年培ってきた想いや経験が気付けば今に活きてきています。」
 
丸田さんのお話を伺っているとこれまでの経験が今に活きていることが分かります。
 


「たくさん失敗だって、怒られたりしてきましたよ。特に、お客様に叱られたことは心に残っている。こうすれば、よかった。次は気をつけなきゃってね。もちろん、上司にだって怒らました。」
 
お客様に叱られたり、失敗したり。自分に足りなかったことを考え、失敗を活かしてきた経験が、調布アイランドの実現にも活きてきたそうです。失敗しても、次こそは!と思ってきた経験が、新しいことへ挑戦する時に支えになっているそうです。
 
「自分の経験を役立たせたいと思うか、思わないかだと思う。役に立てるかもしれない。やってみたいと思ったらやってみればいいんです。考えるよりやってしまったほうがいい。失敗をたくさん経験したら、常に挑戦ができてるのかもしれないな。」

そして、チャレンジを怖がらずに実行する力は、好奇心だと丸田さんは教えてくれました。
 

「何か変だな。もっとおもしろくできないかな。と常に疑問を持って考えることが新しいことへチャレンジするエネルギーになっているんだと思いますよ。好奇心です。」

そう答えてくれた丸田さんの表情は、これからに向かってイキイキとしていました。
 

“つなぐ” を広げていく これからの調布アイランド

調布アイランドがつなげているのは、島と調布だけではありません。調布市内の人と人もつなげています。

 
「市内の加盟店さんには、お客様から今度の宴会であの魚を仕入れてほしい、次の島の魚の仕入れはいつ?・・など要望や問い合わせも入るのですよ。」と丸田さん。
 
お店に食事に来るお客様、そしてお店の人同士が"島の魚や野菜"を通じた話をし、つながりを深めています。



「大漁旗」でも、食事を食べる、提供するだけではなく、お互いが語りあえる関係が作られていました。
 
今後はモノだけのつながりではなく、もっと“人”の交流も活発にしたいと丸田さん。
 
「おかげ様で、いろいろなところからお声がけをいただけるようになりました。今は調布花火大会などのイベント出店には明星大学の学生さんにお手伝いいただいたりしています。東京都の委託事業。地域資源発掘作業プログラムも採択されました。」
 
地域で活躍する学生との交流も盛んです。
 
「調布加盟店の方を連れたモニターツアーも実施したいと思っています。」

「お店の人が、島の魚や野菜について話ができればもっともっとお客様との関係も良くなる。それは、お客様の満足にもつながっていく。」
 
モノのつながりが、人の交流へつながっていく。丸田さんの仕事ももっともっと増えていきそうです。
 

「良いものを選ぶことができる消費者が増えることが地域のブランドを作っていくのだと思っています。街の人がまず、良いと納得して認めてあげる。そこから地域のブランドは作られていくのではないでしょうか。」
 
調布アイランドのおかげで、遠くにあった島の魚が、調布のブランドになっています。
それは一つのアイディアの実現によって生まれた新しい調布の価値。
 
2つのものをつなぐことで新しい価値を生み出す。新しい物語を作っていく丸田さん。
 
調布アイランドが生み出すつながりの輪はどこまで広がっていくのか楽しみです。




​(記事 : 鈴木 宏美 / 写真 : 松本 茜)

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調布アイランド HP:http://chofu-island.or.jp/
大漁旗 (※ちょうふどっとこむ):http://chofu.com/units/36243/tairyobata/ 

 




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