瀬戸内海で捕獲されたことでニュースになったホオジロザメ。
ホオジロザメといえば映画「ジョーズ」のイメージがあるのではないでしょうか?

大きい、凶暴、人食いザメ…とにかく怖そう
瀬戸内海でホオジロザメが捕獲されるのは珍しく、過去にはホオジロザメに襲われたという事件もありました。
実際の大きさはどのくらい?水族館にいない理由はなぜ?シャチとどっちが強いの?など、実際はよく知らないことばかり。
今回はホオジロザメの大きさや生態、水族館にいない理由やシャチとの比較を調べてみました!
ホオジロザメの大きさはどれくらい?
ホオジロザメの大きさ(体長、体重)を紹介します!
ホオジロザメの体長
ホオジロザメは体長は平均4~4.8mです。
また、オスとメスで体の大きさは異なります。
体長 | |
オスの平均 | 3.0~4.0m |
メスの平均 | 4.6~4.9m |
近年世界で発見されたホオジロザメの最大体長は7m前後。
日本で捕獲されたホオジロザメでは体長5.6m、体重1970㎏という記録が残っています。



こんな大きなホオジロザメがいるなんてビックリ!
1930年代にはカナダのニューブランズウィッグで体長11.3mのホオジロザメが見つかったという報告もありました。
しかし、この情報に関しては誤認や科学的な信憑性が乏しく、正式に文書として残ってません。
ホオジロザメの体重
ホオジロザメの体重は平均680~1100㎏です!
成熟した大きなメスのホオジロザメだと1900~2300㎏(1.9~2.3t)にもなります。



軽自動車約2~3台分くらいの重さ!
1945年にキューバで発見されたホオジロザメは体長6.4m、体重3175~3324㎏あったそうです。
ホオジロザメが水族館にいない理由は?
ホオジロザメは世界中の水族館を探しても、残念ながら見ることができません。



どうして水族館にいないの?
水族館にホオジロザメがいない理由を紹介してきます。
その①:生きたままの捕獲が困難
ホオジロザメは時速50㎞で泳ぐとされています。
獲物を探すために広範囲にわたって移動するため、見つけることがまず困難とされています。
ホオジロザメが捕獲される時は、定置網漁などの網に偶然引っかかって捕獲されるケースが多く、暴れて体にダメージを負っていることがほとんど…。
さらに定置網漁に引っかかった場合は数日たってから引き上げられるので、瀕死の状態が多いようです。



元気な状態での捕獲は難しいんだね…
その②:輸送が困難
ホオジロザメは攻撃性が高く、輸送中のリスクが非常に高いと考えられます。
輸送中に暴れてホオジロザメ自体がケガをしてしまったり、輸送設備の破損や人間にも危害が加わる恐れがあります。
ホオジロザメは繊細でデリケートな性格のため、体に傷がついてショック死してしまうことも…。
その③:飼育環境を作るのが困難
ホオジロザメは1日の間に数百㎞泳ぐとされており、常時泳ぎながらエラ呼吸をしています。
マグロと同様に止まると死んでしまうため、泳ぎ続けられるくらい広い水槽が必要!
そのためには水槽の大きさは水深10m以上、水量380万ℓ以上必要になります。



オリンピック競泳のプールで約250万ℓ!
日本では過去に「沖縄美ら海水族館」「しまね海洋館」が飼育を試みたことがありました。
しかし、どちらとも数日以内に死亡したという記録が残っています。
世界的にはアメリカの「モントレーベイ水族館」でホオジロザメの飼育記録が残っています。
高さ約10m以上、380万ℓ以上の水を使った水槽を作り上げたそうです!



海の中に囲いを作って、飼育場所確保したよ!
最長6カ月の飼育に成功しましたが、他のサメを傷付けたという理由で海に帰されました。
それ以降はホオジロザメは絶滅危惧種に指定されたため、水族館で飼育することはなくなりました。
その④:エサの確保が困難
ホオジロザメは子供のうちは魚類、大人になると動物を食べます。



どんな動物を食べるの?
イルカ、オットセイ、アザラシなどの海生哺乳類を特に好んで食べるようです。
水族館で哺乳類をエサとして用意するには捕獲も困難、餌代も非常にかかると考えられます。
その⑤:攻撃性が高い
ホオジロザメは映画「ジョーズ」でも描かれているように、攻撃性が非常に高いです。
日本でもサメに襲われる事故はたくさん報告されています。
しかし、映画「ジョーズ」のようにサメ側から一方的に攻撃してくるということは少ないです。
よくある理由は偶然サメに遭遇してしまい、人間をエサと勘違いして攻撃してきたというケースが多いそう。



ジンベイザメのように穏やかな性格のサメもいるよ!
いくら攻撃の意思がなくても、力強い顎力と鋭い歯で噛まれたら命の危険も。
毎日お世話する飼育員さんが危険にさらされるリスクを考えると、やはり飼育は難しいそうです。
その⑥:ホオジロザメの性格
ホオジロザメは見た目はものすごく怖いですが、実は神経質、繊細でデリケートな性格。
捕獲時に体に傷がついてショック死してしまう…。
慣れない水槽に入れられてストレスを感じてしまい、エサを食べなくなる…。
ストレスから攻撃性が高くなり、同じ水槽の魚を攻撃してしまう…。



見た目に反してデリケートなんだね。
など様々なリスクがあるのも、飼育ができない理由です。
ホオジロザメとシャチはどっちが強いの?
人間から怖いイメージを持たれているホオジロザメですが、そんなホオジロザメにも怖いものが…。
それはシャチです!!



シャチといえば「海のギャング」とも呼ばれているよね!
2019年4月に科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された論文の中で、大規模調査の結果、
ホオジロザメは狩場でシャチを見つけると数分で逃げ出し、次のシーズンまで帰ってこなくなる。
という報告がされています。



どうしてシャチの方が強いの?
シャチの方が強いと考えられている理由を説明します。
その①:体のつくりの違い
シャチの方が強いとされている理由の1つ目は、体のつくりの違いです。
ホオジロザメとシャチの体のつくりを比較してみました。
ホオジロザメ | シャチ | |
分類 | 軟体魚類 | 哺乳類 |
平均体長 | 4~4.8m | 4.9~6.7m |
平均体重 | 680~1100㎏ | 1361~5442㎏ |
骨格 | 化石にも残らないような脆弱な骨、軟骨ばかり | がっしりした強靭な骨 |
シャチは平均的な大きさを比較してもホオジロザメより大きいんです!
さらに骨格を比較するとホオジロザメは軟骨が多く、強靭な骨格を持ったシャチに体当たりされただけで体に損傷を負います。
損傷を負って抵抗できなくなるため、シャチには勝てないのです。
その②:泳ぐスピード
ホオジロザメの泳ぐスピードは時速50㎞。
それに対してシャチは時速60~70㎞、最高速度は時速80㎞にもなります。
泳ぐスピードもシャチの方が勝っており、ホオジロザメは逃げることができません。
さらに速いスピードで体当たりされれば、ホオジロザメも太刀打ちできないのです。
その③:知能の差
シャチは知能も非常に高いとされています。
・氷の上にいるアザラシを狩る時、群れで波を起こしてアザラシを海の中に落とす
・魚をエサにして鳥をおびき寄せて捕獲する
など頭を使って狩りをします。
また、単独で行動するホオジロザメと異なり、シャチは群れで狩りをします。



コール音で仲間同士コミュニケーションをとっているよ!
体当たりするだけでもホオジロザメを狩ることは可能です。
しかし、シャチは知能を活かして「サメは仰向けになると動けなくなるという習性」を利用して狩りをするという報告もされています。
番外編:ホオジロザメの肝臓が好物
ホオジロザメは肝臓に多くの脂質が含まれ、肝臓が浮袋代わりになっています。



サメの肝臓は栄養豊富!
そのためシャチはホオジロザメの肝臓を狙って食べることが報告されています。
南アフリカでは食べられたホオジロザメの死骸が海岸に上がっているのが観察されています。
ホオジロザメの基本情報
ホオジロザメの基本情報を紹介します。
正式名称:ホホジロザメ(頬白鮫)
通称:ホオジロザメ(日本人が発音しやすいように和名になったもの)
分類:ネズミザメ目 ネズミザメ科 ホホジロザメ属
平均寿命:約70歳
生息域
ホオジロザメは寒帯を除く、ほぼすべての海域にいます。
水面から水深10m程度の位置を好んで活動していますが、時には水深1000mまで潜ることも。



こんなに深く潜れるなんて知らなかった!
ホオジロザメのエサ
ホオジロザメはオットセイ、イルカ、アザラシなどの海生哺乳類を好んで食べます。
他には魚類、鳥類、クジラの死骸も食べるそうです。
ホオジロザメの体の特徴
ホオジロザメの体の特徴について紹介します。
・背中側が黒、腹側が白で境界線がはっきりしている
・真っ黒な目
・三角形型の尾ビレは上下の長さが等しくなっている
・正三角形の歯
体の色が2色になっているのは、上から見た時と下から見た時に、それぞれ保護色になるためではないかと考えられています。
ホオジロザメの危険度は?
サメによる襲撃事件でよく名前があがるのは「ホオジロザメ」「イタチザメ」。



ホオジロザメって人食いザメでしょ?
基本的にサメは積極的に人間を捕食してこようとはしません!
では、なぜサメによる襲撃事件が起こるのか…。
サーフィン中、潜水中、遊泳中などに事故が起こっています。
サーフボードを海中から見上げると海獣類にそっくりで、見間違えて襲ってきます。
また潜水中などに人間がサメの興味の対象になった場合に、サメは咬むことで確認しようとします。
結果、襲うつもりのないサメの咬みつきは、人間にとっては致命傷となってしまうことも。



サメに襲われないようにするにはどうすればいいの?
・流血中は泳がない(サメには血液の感知能力があるため)
・誤認されやすい薄暗い時間帯や、濁った水質で泳がない
・コントラストのはっきりしたウエットスーツやサーフボードを着用
サメは嗅覚と視覚が非常に鋭いです。
視覚に関しては、色の判別はできませんが明暗の判別はできるとされています。
サメの習性を知って対策をすることで、危険度を下げられるのではないかと考えられています。
ホオジロザメの大きさ情報まとめ
・ホオジロザメは体長4~4.8m、体重平均680~1100㎏
・ホオジロザメは水族館でみることはできない
・シャチの方がつよい!
・ホオジロザメは寒帯を除く、世界中の海域にいる
・サメの誤認や興味によって襲われることが多い



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